フィクサー・メリーズ Part 3
「会長、どちらへ?」
「今日の予定はすべてキャンセルしろ」
「経団連のパーティがございます」
「キャンセルしろ。同じことを言わせるな」
「網走に行かれるのですか?」
「・・・」
「お供します」
「一人でいい」
「奥さま、今日がお誕生日でしたね」
「あとは頼んだ」
「お気をつけて」
この地に降り立ったのは
何年ぶりだろう
気づかぬうちに足が遠のいた
何度も面会を拒否されるうちに
記憶が薄れて行くうちに
気づかぬうちに足が遠のいた
何十年ぶりに
手紙を書いた
また会えないとしても
この手紙を
手紙が落ちていく
雪の上に落ちていく
白と混ざり合う赤い色
手紙をお前に
というわけで朝ごはんは
サンドイッチとさつまいもバター