フィクサー・メリーズ Part10
三ヶ月に一度
娘が面会に来てくれる。
本当なら
先週の木曜日が面会の日だった。
だけど
娘は来なかった。
その代わり
誰かが面会に来たようだ。
いつもの面会室ではない
別の部屋に通された。
刑務所長の部屋。
ソファーに男が座っている。
あの家に住んでいた頃
何度か見かけたことのある男だ。
「お久しぶりです。
以前ご挨拶させて頂きました、
阿倍野署の警察署長、玉木です。
とりあえずお座りください。」
座らなかった。
もちろん、目も合わせなかった。
夫の知り合いだから。
「時間も無いので、手短にお伝えします。あなたの旦那様が警察官を撃ちました。あなたもご存知の警察官です。」
つい、目を見てしまった。
署長の玉木はニヤついている。
「驚いたか?
その顔が見たかったんだよ。
バカ女が。つらいだろ?
息子が撃たれたんだからな。」
(つづく)